硫黄泉の基準と、型を分ける条件は別
硫黄泉の分類に関わる総硫黄の基準は、温泉水1kg中に2 mg/kg以上です。[1]
総硫黄は、硫化水素イオン・チオ硫酸イオン・遊離硫化水素に含まれる硫黄の量を合計したものです。一方、「硫化水素型」かどうかは、硫黄が主にどの形で含まれるかを見ます。遊離硫化水素だけに一律のmg/kgの下限値を設けているわけではありません。
硫化水素型の判定式
鉱泉分析法指針では、次の関係で判定します。遊離硫化水素の量が、硫化水素イオンとチオ硫酸イオンの合計より大きい場合に「硫化水素型」と付記して区別します。[2]
遊離硫化水素 > 硫化水素イオン + チオ硫酸イオン
いずれもmmol/kgで比較
mg/kgの値をそのまま比べない
mg/kgは成分の重さ、mmol/kgは成分の粒の数に対応する量を、温泉水1kgあたりで示す単位です。同じ重さでも成分によって粒の数は異なるため、判定にはmmol/kgに揃えた値を使います。
この式で比べるのは、各成分のmmol/kgの値です。先ほどの総硫黄を求める「硫黄だけの重さ」の合計とは、計算の目的も単位も異なります。
数値例で確かめる
以下は説明用の数値例です。実際の施設の分析値ではありません。
| 成分 | 量(説明用の例) |
|---|---|
| 遊離硫化水素 | 0.3 mmol/kg |
| 硫化水素イオン | 0.1 mmol/kg |
| チオ硫酸イオン | 0.1 mmol/kg |
硫化水素イオンとチオ硫酸イオンの合計は0.2 mmol/kgです。遊離硫化水素の0.3 mmol/kgの方が大きいため、上の判定条件を満たします。硫黄泉としての総硫黄の基準を満たすことも別に確認する必要があります。
遊離硫化水素が記載されているだけでは、この判定はできません。残りの2成分も同じ単位で比べる必要があります。
分析書で確認すること
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 泉質欄 | 「(硫化水素型)」という付記があるか。 |
| 成分表 | 遊離硫化水素・硫化水素イオン・チオ硫酸イオンを、別々の項目として確認する。 |
| 単位 | mg/kg、mmol/kg、ミリバルを取り違えない。 |
| 記載方法 | 「未満」や空欄を、確定値や0として扱わない。 |
このサイトでは、数値から型を再判定して泉質名を書き換えることはせず、分析書に記載された型を紹介しています。においの特徴は、成分量に加えて知覚試験の記録も参考にします。
参考資料
- 環境省「温泉の定義」表2:療養泉の総硫黄の基準。
- 環境省「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」本文6ページ:硫化水素型の付記と、mmol/kgによる判定式。