溶存物質とは何か

分析書の「溶存物質(ガス性のものを除く)」は、プラスの電気を帯びた成分(陽イオン)、マイナスの電気を帯びた成分(陰イオン)、それ以外の欄に記載される非解離成分などを合計した量です。溶けているガスは含めません。単位mg/kgは、温泉水1kgあたり何mg含まれるかという意味です。[1]

量と、成分の種類を一緒に読む

同じ溶存物質量でも、塩化物や炭酸水素塩などの組み合わせは異なります。総量は成分の濃さの目安であり、肌ざわりや温まり方、美容効果の強さを示す数値ではありません。

低張性・等張性・高張性の違い

浸透圧とは、濃さの違う水溶液を、水を通す膜で隔てたときに生じる圧力の差です。温泉では、ガスを除く溶存物質量、または凍り始める温度(凝固点)をもとに、低張性・等張性・高張性に分けます。溶存物質量を用いる場合の区分は次のとおりです。[1]

溶存物質量による浸透圧の分類
分類溶存物質量(ガスを除く)
低張性8,000 mg/kg未満
等張性8,000 mg/kg以上10,000 mg/kg未満
高張性10,000 mg/kg以上

8,000 mg/kgは等張性、10,000 mg/kgは高張性に含まれます。サマリーでは記載された溶存物質量から案内し、原本の分類欄は別に保持しています。分類名から成分の吸収量や効果の強さを推定することはしません。

成分総計・蒸発残留物とは別の項目

成分総計にはガス成分も含まれる

成分総計は、ガスを除く溶存物質量に溶存ガス成分を加えた合計です。成分総計だけが記載されている場合、その値を「溶存物質(ガスを除く)」として扱うことはできません。

蒸発残留物は、蒸発・乾燥させて測る値

蒸発残留物は、試料を蒸発・乾燥させて残った物質を測定した値です。測定方法や乾燥時の成分の変化が関係するため、分析した成分量を合計する溶存物質量とは区別します。原本に記載のない溶存物質量を、蒸発残留物で代用しません。

このサイトの単位換算と計算値の扱い

温泉法・療養泉の基準との関係

溶存物質(ガスを除く)の基準値は、温泉法では1,000 mg/kg以上、療養泉では1,000 mg/kg以上です。[2]

この基準と、低張性・等張性・高張性を分ける基準は目的が異なります。温泉・療養泉は温度やほかの成分で要件を満たす場合もあるため、溶存物質量が1,000 mg/kg未満でも、それだけで温泉ではないとは判断できません。

温泉法・療養泉の全項目の基準値を見る

参考資料

  1. 環境省「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」:分類と分析項目。
  2. 環境省「温泉の定義」:温泉法・療養泉の基準。