どんな成分か

鉄(Ⅱ)と鉄(Ⅲ)は、鉄が水に溶けている状態の違いを表します。Ⅱ・Ⅲは含有量の大小や品質を示す数字ではありません。温泉法と療養泉の基準で使う「総鉄イオン」は、両方の量を合わせたものです。[1]

分析書に鉄(Ⅱ)と鉄(Ⅲ)が分かれている場合も、総鉄として記載されている場合もあります。基準値と比較する前に、どの項目の量なのかを確かめます。[2]

お湯の特徴との関係

鉄を含む温泉では、空気に触れて酸化が進むと赤褐色に変わることがあります。日本温泉協会は、時間がたつと、溶けていた成分が固体になって沈む例や、酸性が強い場合には鉄の沈殿が起こりにくいことを説明しています。[3]

したがって、鉄の記載があるだけで「赤茶色のお湯」とは断定できません。成分の数値に加え、分析書の知覚試験(色・においなどを確かめる試験)の記載や、実際の浴槽の状態も分けて確認します。[3]

温泉法・療養泉の基準

総鉄イオンとして比較する含有量の基準です。いずれも温泉水1kgあたりの値です。[1]

温泉法
10 mg/kg以上
療養泉
20 mg/kg以上

温泉法の基準は温泉の定義に、療養泉の基準は療養泉に該当するかの判断に使います。基準値に対する倍率は、含有量を基準値で割って求めます。たとえば基準値の2倍は、その成分が基準の2倍の量含まれるという意味で、効果が2倍という意味ではありません。温度など別の要件で温泉・療養泉に該当する場合もあるため、一つの成分の値だけで温泉全体の該当性は決められません。

ほかの成分の基準値と比べる

分析書で読むときの注意

鉄(Ⅱ)しか記載されていない場合、未記載の鉄(Ⅲ)を0として総鉄量を確定することはできません。総鉄の基準に対する正確な倍率も、総鉄量が確認できる値に限って表示します。[1]

このサイトの追加解説は、総鉄の記載値、または鉄(Ⅱ)単独の記載値が温泉法の総鉄基準以上の場合に掲載します。後者は、少なくとも確認できる量が基準以上であることを掲載目安にするもので、鉄(Ⅱ)を総鉄に置き換える扱いではありません。

掲載の基準値は、色が付く境界値ではありません。基準未満の鉄は成分表に残し、サマリーで微量の鉄から色づきを期待させる説明を増やさない方針です。

関連する分析書

このサイトに登録された分析書のうち、対象成分に0より大きい確定した含有量が記載されているものです。基準未満の記載値も含みます。「未満」などの限界値・未記載・0の値は、この一覧には含めません。

鉄(Ⅱ)・鉄(Ⅲ)・総鉄を、分析書に記載された別々の項目として表示します。各イオンの量を総鉄量に置き換えていません。

総鉄イオンの記載がある分析書
施設・分析書記載された成分と含有量
箱根町 弥坂湯温泉の成分の分析年月日:令和元年9月9日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.02 mg/kg
筑波温泉ホテル分析終了年月日:令和2年3月19日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.6 mg/kg
手賀沼観光リゾート 天然温泉 満天の湯分析終了年月日:2026年4月22日
  • 鉄(Ⅱ)イオン1.5 mg/kg
  • 鉄(Ⅲ)イオン0.3 mg/kg
草津温泉 大滝乃湯分析年月日:令和5年7月25日
  • 鉄(Ⅱ)イオン17.3 mg/kg
和の宿 夢月分析終了年月日:平成27年3月14日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.2 mg/kg
竹瓦温泉(女湯)試験終了年月日:平成31年3月4日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.4 mg/kg
竹瓦温泉(砂湯)試験終了年月日:平成31年3月4日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.5 mg/kg
竹瓦温泉(男湯)試験終了年月日:平成31年3月4日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.7 mg/kg
柴石温泉試験終了年月日:令和2年1月21日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.4 mg/kg
柴石温泉(むし湯)試験終了年月日:令和2年1月22日
  • 鉄(Ⅱ)イオン3.5 mg/kg
  • 鉄(Ⅲ)イオン0.8 mg/kg
芝居の湯(別府市コミュニティーセンター)試験終了年月日:令和5年1月30日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.1 mg/kg
熱の湯試験終了年月日:平成31年3月1日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.4 mg/kg
永石温泉試験終了年月日:平成31年3月4日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.3 mg/kg
鉄輪むし湯(浴槽)試験終了年月日:平成31年3月1日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.4 mg/kg
鶴寿泉試験終了年月日:平成31年3月8日
  • 鉄(Ⅱ)イオン7.4 mg/kg
  • 鉄(Ⅲ)イオン1.0 mg/kg
地蔵泉試験終了年月日:平成5年7月19日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.6 mg/kg
浜田温泉試験終了年月日:平成31年3月1日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.5 mg/kg
不老泉試験終了年月日:令和6年7月9日
  • 鉄(Ⅱ)イオン0.2 mg/kg

参考資料

  1. 環境省「温泉の定義」表1・表2
  2. 日本温泉協会「温泉分析書の見方」
  3. 日本温泉協会「温泉の色」

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